俺様富豪と甘く危険な恋

お互いの心配は

大学病院で腕のレントゲンと治療を受けた栞南はマンションに戻る途中で疲れ切って眠ってしまい、ベッドに運ばれても目を覚まさなかった。

腕は幸いなことにひびは入っていなかったが、かなり腫れておりしばらく痛むはず。


(なんでもなかったように振る舞っていたが、ショックだろう……)


蓮はベッドで眠る栞南をしばらく見守り、部屋を出た。

ガラスが飛び散った床や壊れたスタンドは、蓮たちが病院から戻るときれいに片づけられていた。

ボディーガードたちは蓮の逆鱗に触れないよう、遠くから顔色をうかがっているようだ。

蓮は栞南の気持ちを考慮し、この件はトニーたちに対し不問にした。だが、栞南を襲ったリーは給料口座を凍結させ、警察に届け出た。

栞南が襲われたのは自分のせいだと蓮は考えている。

血気盛んな若い男の目の届くところで栞南を溺愛したからだ。とはいえ、未遂とはいえレイプを許すわけにはいかない。


(栞南が受けた傷は償ってもらう)


蓮が書斎で次回のオークションの招待状の封を切っていると、ダニエルがコーヒーを運んできた。


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