俺様富豪と甘く危険な恋
「朝日奈さん……大丈夫ですか?」

「それを聞くのは俺の方だろう?」


蓮は心配そうな栞南にフッと笑みを漏らす。


「朝日奈さんが心配なんです」

「ありがとう。俺は大丈夫だ。食べ物をなにか持ってくる」


(けが人に心配されるとは……)


「いらないです。大丈夫。朝まで待てます。薬のせいかとても眠くて」

「わかった。明日の朝にしよう。布団に入って」


蓮に手を添えられ、栞南はベッドに横になる。


「もう寝てくださいね。私は大丈夫ですから。明日はお仕事ですよね? おやすみなさい」


こんな日は一緒にいてほしい。栞南の本音はそうだが、自分を襲った男の言葉が胸に留まっていた。


『俺たちの前でイチャイチャしやがって』


(その通りだったのかもしれない)


蓮はベッドのダウンライトの灯りを暗くした。


「ああ。おやすみ。痛くて眠れなかったらいつでも呼んでくれ」

「はい」


蓮は腰をかがめて栞南の額にキスを落として部屋を出た。


< 143 / 369 >

この作品をシェア

pagetop