俺様富豪と甘く危険な恋
「その小さい頃も女の子にこうやって乾かしてあげていたんですか?」


夕食の時には我慢できたのに、今の昔の話にも栞南は嫉妬してしまい言っていた。言ってしまってからうろたえる栞南を見て蓮はフンと鼻で笑う。


「そんなわけないだろ? 俺は好きな女じゃないとこんなことはしない」


そう言ってから、蓮は事故で亡くなった婚約者のリリアナを思い出す。一度も髪を乾かしてあげたことがない。今までの恋人にも。


「お前だけだ」


蓮は顔を傾け、栞南の髪に口づけを落とした。


「朝日奈さん……」

「朝日奈さんか……もう蓮と呼んでくれてもいいんじゃないか?」

「えっ……」

「俺たち恋人同士だろ?」


戸惑い顔を赤らめる栞南をのぞきこみ、蓮は口角を上げる。


「そ、そうですけど……私、朝日奈さんの名字が好きなんです」

「は?」


思いがけない言葉に唇にキスをしようとしていた蓮の動きが止まる。


「だからこのまま呼ばせてください」

「はぁ……わかった。今はいいが、必ず蓮と呼ばせてみせるからな」


妥協をした蓮は噛みつくようなキスをした。


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