俺様富豪と甘く危険な恋
リビングのローテーブルに用意されていたお酒は白ワインで、あまり強くない栞南のためのよう。

おつまみにチーズや、大きな宝石のようなチョコレート。

それに数個のキャンドルはロマンチックな雰囲気で、灯された火が微かに揺れている。

栞南の隣に座った蓮はワイングラスに冷えた白ワインを注ぎ、軽くグラスをあてて乾杯すると一気に飲み干す。


「お前のことを教えてくれないか?」

「私のこと……? でも……調査済みじゃ――」


初めて会った日のことを思い出す。蓮はつらつらと栞南の身上調査を言ってのけたのだ。


「たしかに家族構成や会社は記憶しているが、書類上ではわからないことが知りたい」


自分のことを知りたいと思ってくれて栞南は正直うれしい。でも、自分のことをすべて話すのは難しい。


「えっと……北海道の小樽で高校まで過ごして、大学は東京に。それから就職して――」

「ストップ。やけに簡潔すぎるぞ」


栞南は長い指で鼻をつままれる。


「だってそんなこと言われても……だったら質問してください」


つままれた鼻を軽く撫でながら蓮をにらむ。

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