俺様富豪と甘く危険な恋
ナイトマーケットで知られている女人街と男人街に売っているものはほとんどがコピー商品だ。だがそれでも有名な観光場所に栞南は行ってみたかった。

手をつなぎながら路地の両脇に出ている店をひやかしながら歩く。

ふと明日の今頃は日本に到着していると思ってしまい栞南は胸が痛くなった。悲しくなり蓮の手をぎゅっと握っていた。


「同じものばかり売ってるな。なにか欲しいものがあるのか?」


コピー商品ばかりではあるが、キーホルダーや翡翠の置物、香港の福を呼ぶ飾りもある。

栞南は瞬きを数回繰り返してから、蓮を仰ぎ見る。


「あのスリッパがかわいいですね」


目に入った香港シルクで作られたスリッパを指さす。細やかな刺繍が施されているパンダ柄や金魚柄で可愛らしくてステキだ。


「あれを買おう」


蓮は栞南をその露店に連れて行く。


「金魚はこちらでは金が入ると言われている」

「じゃあ、金魚にします!」


パンダと金魚、そして花の刺繍柄に悩んでいた栞南は赤い金魚のスリッパに決めた。

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