俺様富豪と甘く危険な恋
「私、ファーストクラスじゃなくても……」


拉致されて日本へ帰してもらいたかったときは、ファーストクラスで帰らせてもらおうじゃないのと、意気込んでいたが今となっては蓮といられる時間の方が貴重であると切に感じている。


「約束は守る主義なんだ」


そう言いつつも蓮も心中穏やかではいられない。


(おそらく残りの時間は瞬く間に過ぎていくだろう……)


20分ほどでマンションのエントランスに到着した車は蓮と栞南を下ろすと、そのまま走り去っていく。


「ダニエルさんはどこに住んでいるんですか?」

「この近くのマンションだ。事件中は隣の部屋に住んでいたが」


ふたりはエレベーターに乗り12階で降りると部屋に戻った。


玄関に入ると、栞南は蓮の腕に強く抱きしめられた。


「ずっとこうしたいと思っていた」


唇が重なり、すぐに深いキスを求めてくる蓮に栞南はおずおずと舌を差し出す。

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