俺様富豪と甘く危険な恋
玄関でキスが始まり、いつの間にか蓮の寝室のベッドに栞南は押し倒されていた。


「余裕がない男は嫌いか?」


栞南の上に覆いかぶさる蓮は見つめる。頬をスッとなぞられた栞南は首を左右に振るのが精一杯だ。心臓が爆発しそうなほど鼓動が激しい。


「余裕がない朝日奈さんも好きです……愛してください」


蓮に愛されていることが栞南を大胆にさせる。栞南は腕を伸ばし、蓮の首に絡めて引き寄せた。


「蓮だ」

「……レン」


蓮は満足げに微笑むと、栞南のブラウスのボタンを外しはじめた。


互いを愛おしく思う気持ちで抱き合う夜……

快楽の嵐に襲われ、栞南は甘い声をあげるどころか、蓮を思う気持ちが溢れ出て涙がこぼれる。

こみ上げる想いを胸に抑えきれないのだ。


「栞南……」

「ご……めんな……さい……」


時間は刻一刻と過ぎていき、愛されながらも胸が痛い。


「イギリスへ一緒に行くか?」


栞南の肩にキスを落とした蓮にハッとした目を向ける。


(行きたい……けれど……)


栞南は小さく首を横に振った。

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