俺様富豪と甘く危険な恋
「栞南……」

「どんな蓮でも私は好き。連絡が取れなくてすごくツラかったの」


蓮は手を栞南の髪にやり、そっと撫でる。目が見えないが、その手はまるで見えるようにびったりと栞南の髪に触れる。


「……すまない」


どんな自分でも好きだと言ってくれるが、孤独な世界になった自分には栞南をこれからも愛し続けられるかわからない。

行動が制限され、目が見えなくなった自分は卑屈な性格になってしまわないか。栞南を愛し続けた結果、病的な束縛をしてしまうかもしれない。


(やはり……栞南を……)


「レン? 何か言って? 謝るだけだなんて……不安だよ」


栞南はすぐ近くにいるダニエルに視線を動かす。


「レンさま、部屋に戻りましょう」

「……そうだな」


蓮は身体を少しずらして栞南から離れると、ダニエルに腕を支えられると歩き出す。


(レン……)


「カンナさん?」


確かな足取りで先を歩く蓮の背中を不安な気持ちで見ていると、後ろにソフィアが立つ。




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