俺様富豪と甘く危険な恋
「がっかりした?」

「えっ!?」

ソフィアの言葉に栞南はなにが?と小首を傾げる。だが、実際ソフィアの言葉は栞南の胸を突いていた。

蓮が自分の手を頼らずにダニエルと行ってしまったことが悲しかった。


「レンの目になりたいと思うのなら、こんなことで気にしてはダメよ」

「ソフィアさん……」

「さ、行きましょう。レンとちゃんと話をすればいいわ。彼があなたを愛していることは間違いないんだから」


栞南はソフィアに促されて、蓮の後を追った。

砂浜からコンクリートになり、ソフィアは素足に着いた砂をパタパタはたいてヒールを履く。


「私は帰るわね。また会いましょう」


ソフィアはタワーマンションの来客用の駐車スペースに停めてある真っ赤なスポーツカーに向かった。

その場に残された栞南は車に乗り込む前にこちらを見たソフィアに頭を下げた。


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