俺様富豪と甘く危険な恋
このドレスワンピを着ていると、蓮と一緒にいるような気分になる。


「行ってくるね」

「はいよー。気をつけていってらっしゃい。美味しいものもたらふく食べてきなよ」


優香に見送られて栞南は玄関を出た。

結婚式場は都内で最高級と言われる「朝倉ホテル」だ。各国の要人が泊まるホテルとしても知られている。

都心にありながら庭園は緑が多く、美しい教会があり、結婚式場はなかなか予約が取れないと聞いている。

朝倉ホテルのある最寄りの駅で美羽と待ち合わせしていた。

改札で待っていると、美羽がやってきた。彼女はピンク色のパーティードレスを着ている。半袖のボレロ付なので、栞南の顔を見た途端「暑い、暑い」とハンカチで汗を拭いている。


「今日の栞南、雰囲気が違うね。大人っぽくて別人みたい」

「そうかな? アップにしているせいかもね」

「ドレスの色のせいかな。キラキラしてるよ」


(キラキラかぁ……レンのおかげかな……)


朝倉ホテルに向かいながら、蓮がそばに居てくれたらと思わずにはいられない。


(幸せそうな新郎新婦を見たら、余計そう思っちゃうんだろうな。やっぱりレンのもとへ押しかけてしまおうか……)


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