俺様富豪と甘く危険な恋
「酷い顔をしているぞ。目の下のクマが凄すぎて超ブスだな。もう一度寝てこい」
「超ブスなのは分かってます! もう寝なくていいです!」
心配をして言ってくれているのか、それとも早く起きてきて迷惑なのか。栞南は戸惑いながら強く言っていた。
「そんなことじゃ、すぐにぶっ倒れるぞ」
「そんなに柔じゃありま――! 海っ!」
ダイニング一面の窓から見えるのは海だった。栞南は蓮との会話を忘れ、窓へ近づく。
リゾート地のようなキレイな海ではないが、山の中を走っている感じだったから驚いた。
(ここはどこなのだろう)
窓に張りついて景色を見ていると、斜め左方向の下に色鮮やかなお寺のような建物と像を見つける。
「朝日奈さんっ、あの建物はなんですか!?」
蓮の方へ振り返り、右手で下の方を示す。
「建物? ……ああ、天后廟(ティンハウミュウ)だ」
蓮は少し興奮気味の栞南に教えるが、興味のない会話ですぐに紙面に視線を落とした。しかし、栞南の反応は違うものだった。
天后廟と聞いて、泣き腫らした目が輝く。
「天后廟っ!」
栞南が行きたかった観光名所だった。
「超ブスなのは分かってます! もう寝なくていいです!」
心配をして言ってくれているのか、それとも早く起きてきて迷惑なのか。栞南は戸惑いながら強く言っていた。
「そんなことじゃ、すぐにぶっ倒れるぞ」
「そんなに柔じゃありま――! 海っ!」
ダイニング一面の窓から見えるのは海だった。栞南は蓮との会話を忘れ、窓へ近づく。
リゾート地のようなキレイな海ではないが、山の中を走っている感じだったから驚いた。
(ここはどこなのだろう)
窓に張りついて景色を見ていると、斜め左方向の下に色鮮やかなお寺のような建物と像を見つける。
「朝日奈さんっ、あの建物はなんですか!?」
蓮の方へ振り返り、右手で下の方を示す。
「建物? ……ああ、天后廟(ティンハウミュウ)だ」
蓮は少し興奮気味の栞南に教えるが、興味のない会話ですぐに紙面に視線を落とした。しかし、栞南の反応は違うものだった。
天后廟と聞いて、泣き腫らした目が輝く。
「天后廟っ!」
栞南が行きたかった観光名所だった。