聖夜の忘れ形見
※※※



必要最小限のものだけ鞄に詰め込み、小夜は家を出た


さて………どうしよう


勘当されるかもしれないというのは、最初から織り込み済みだ

ただ勢いで何とかしようという気持ちもあり、勘当された後のことはほぼ無計画だった


「お嬢様、どちらに参られるんですか」


「村田さん」


小夜の背後から声を掛けた村田も、両手に鞄を持っている


「勘当されちゃったから、私もうお嬢様じゃないわ。村田さんこそ、そんなにたくさんの荷物を持ってどうなさったの?」


「それでは、小夜様とお呼びさせていただきますね。私、ご主人様にお暇を出されてしまいました」


ふふと笑いを漏らす村田に、小夜は悟った


「もしかして、辞めてこられ───」


「私はお暇を出されてしまったんです。ですが、私は元々小夜様の身の回りのことをさせていただいてました故、これからは小夜様と共に参ります」


「そんな…」


「いいんですよ。小夜様はこれからお子も産まなければいけませんし、私もまだまだ働き口はありそうですから。さあさ、とりあえず住む場所から決めなければなりませんね」


呆気に取られる小夜をよそ目に、村田はずんずんと町中を進んでいく
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