アイスクリームの美味しい食し方
「…よかったね。
お姉さんと店長
誤解が解けて。」

私は新に言った。
私たちは、
私の教室に向かっていた。

「俺の勘違いのせいかと思うと
申し訳ないです。」

新は落ち込んで言った。

「新のせいじゃないよ。
ほんの少し、絡まっただけだよ。

きっかけがあれば、戻るって
決まってたんだよ。

なのに、私も八つ当たりしてごめん。」

私は新の手を握った。
もう、いつの間にか周りの目も気にならない。

「言葉にしないと分からないこともあるもんな。

俺もチカがあんな風に思ってたなんて知らなかった。
ごめん。」

新はその手を握り返した。


「私も言わなかったもん。
ヤキモチは焼くし、疑うし、
不安になるし、
よ、欲望は増えるし。」

私は素直に言ってみた。


「俺も。


あのさ…。」

新はちろっと私の服装を見た。

「何?」
私は答えた。


「姉さんのことでバタバタしてて、
言わなかったですけど、

なんちゅー格好してんですか。」

新は冷たい笑顔を浮かべた。

ぐ。

な、懐かしい香りがする。



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