アイスクリームの美味しい食し方
その夜、
えみとお母さん以外から
久々に携帯の電話が鳴った。


相手は、以前モデルのバイトを
させてもらった事務所で、
もう一度だけやってみないかという
話だった。

交通費も出るとのことで、
母に会うにはちょうどいいのではないかと心が揺れた。

だけど、やっぱり
表に出る仕事は私にはむつかしいと思い、
丁重にお断りした。


布団に寝転び、
開いた窓から見える空を眺めた。

「星が綺麗。」

溢れこぼれたように
空に弾けている。

東京でこんなに星が見えるわけがない。
空気がこんなに美味しいわけない。


こんなに穏やかな気持ちでいられない。


絶対そうなのに。


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