アイスクリームの美味しい食し方
そんな日々はゆるやかに過ぎて行った。

だから突然の申し出に面食らってしまった。

「うちの養子にならないか？」
叔父さんが夕食中に言い出した。

私は箸をおいて話を聞いた。

「チカちゃんは東京育ちなのに、
飾り気がなく気さくでいい子だ。
ここの暮らしもあっていると
叔父さんは思うんだ。


美結もチカちゃんが大好きみたいだし、
うまくやっていけると思うんだ。」

私は心が高揚するのを確かに感じた。

叔母さんも美結ちゃんも
嬉しそうに笑っている。

私、ちゃんと信じたからだって
本当に思った。

あれから、日が経って、
気づいたことがあったんだ。

お母さん、冷たくて暗いのは
佐々 新じゃなかったって。

冷たくて暗かったのは、
私の心と目だったんだって。

確かに佐々 新にはひどいこともされたけど、
それは、私が怒らせたことで、
怒ってるのに、それでも私を助けてくれた優しい人だった。

私は、彼のおかげで
人をちゃんと信じることが出来たんだ。


前の私じゃ、
絶対にいい子だなんて
思ってもらえなかったと思う。

「嬉しいです。」
私は素直にそう伝えた。

そして、

「でも、少し考えさせてください。」

と答えた。

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