キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


「じゃあ、なんて呼べば……」

「そんなのお前が考えろよ」

「ええっ。じゃあ、や、や、矢崎……師匠」

「師匠は却下。まあいいや。次までに考えておけ」


まるで業務連絡のように、上から目線で次々に命令される私。

次までにって……あれ?


「今日はこれで解散ですか?」

「ああ。明日は出勤だからな」

「でも、もう少しだけ……」


夕食を一緒に食べるくらいの時間は残されてるでしょう?

店長の気持ちがまだ信じられないから、色々と話したいのに。一緒にいたいのに。


「今もう少し一緒にいたら、明朝、一緒に出勤することになりかねない」

「えっ」

「せっかくお前から得た信用を失うわけにはいかないからな。今日は狼にならないうちに帰るわ。晩メシはのちのち、な」


って……一緒にいたら、つまり、いきなり大人の男女関係になってしまうということ?

そ、それは私的にもちょっと。


「じゃあ……今日はありがとうございました。気をつけて帰ってくださいね」


後ろ髪を引かれる思いで車から降りると、ドアを閉める直前に店長が言った。


「何かトラブルがあっても、俺が必ず守ってやるから。安心して出勤しろよ、初芽」


……はつめ……。

それって、私の名前じゃん!

気づくと同時、再び顔に全身の血が集中する。


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