キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


どきりとした。

前はたしかに、店長と社員としての信頼関係しかなかった。

でも、今は?

俊も私も、仕事中に私情はまったく挟んでいないといえるだろうか?

皆が私たちがつきあってることを知ったら、どう思われるんだろう。

他の店長たちは、俊に失望してしまうんだろうか。


「いらっしゃいませ!」


どうやら顔見知りのお客様が来店したらしく、店長さんは笑顔で接客に出ていった。

私は止まっていた手を、のそりと動かしはじめる。


「あっ」


宛名シールを貼ったらシワが寄ってしまって、慌てて剥がして貼りなおした。

一見綺麗に見えるそれにも、よく見るとやっぱり薄いシワが残っていた。

私とのことがばれたら、俊の評価にもこうして、薄くても消えないシワが刻まれてしまうのかな。

そうして見ると、たったそれっぽっちのミスが、どうしようもなく悪いことに思えてきた。

誰かに聞いてもらいたい。けど、社内の誰にも話すわけにはいかない。

どんどん胸が重たくなっていって、大きなため息が出た。



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