キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


まるで、私が俊を体で買収したように思われているみたい。

詳しくは何と言われているかわからなかったけど、知りたくもなかった。

ここで反論しても敵を増やすだけなので、私はシール貼りを再開。

触らぬ爬虫類に祟りなし……っと。

そうして静かにしていると、山田さんは散々無駄話をしたあと、受話器を置いた。

やがて店長さんが休憩から帰って来ると、山田さんはさっさと休憩に行ってしまった。

家が近くなので、一度帰るみたい。正直、ホッとする。


「ごめんね、椎名さん。山田さん態度悪いでしょ?パート切りの対象になっちゃって、ずっとイライラしてんだよね。でんっと座って動かなかった自分が悪いのにねえ」


あらら、彼女もか……。平尾さんと同じ種類の人間ってわけね。


「ひどい噂が回ってるみたいですね」

「まあ、ほとんどの人は信じてないんじゃない。上司と寝て味方につけるなんて、そんなことする女の人、いまどき昼ドラにも出てこないよ」


どうやら、さっきの会話が聞こえていたみたい。

上司と寝て味方につけた。やっぱり、そう言われているようだ。

なんてこと。さすがにそこまで女性として馬鹿にされると、腹が立つ。


「他の店でも、店長と社員がデキちゃって、店長がその子ばかり贔屓するとか、休みを全部一緒にとるとか、迷惑かけるやつらもいるからさ……一緒に働く社員には正直迷惑だし。でも矢崎くんに限って、そういうことはないよね。彼は仕事に対してはバカ真面目だから」


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