キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
長井が何か言い返してこようとしたみたいだった。
その瞬間また社内用電話が鳴り、今度は長井が出る。
自分が周りに嫌われているのはわかっている。
それでいい。俺は憎まれ役でいいから、他のやつらがまとまってくれれば。
そう思って、ずっと仕事をしてきた。
まあ……今は大揉めした結果、バラバラだけど。
「あ、久しぶり。元気だった?」
くだけた口調から察するに、同期か誰かだろう。
どうやらフレームの在庫探しを頼まれたようで、メモをとりながら売り場の方へ向かっていく。
その表情が、だんだんと硬くなっていった。
どうしたんだ?
長井はその後何分か話したあと、暗い表情で電話を切った。
「何かあったのか?」
「いえ、なんでも」
「……私用電話はほどほどにしろよ」
暇な店のやつが世間話したくて電話をかけてくることもあるが、いちいちつきあってやる必要はない。
当然のことを言っただけだが、長井は一瞬こちらをにらみつけた。
しかし、瞬きをする間にその視線は逸らされていた。
「すみません」
長井は携帯を置くと、さっと売り場の方へ行ってしまった。
にらまれたような気がしただけか?
まあ、いいか。気にしても仕方がない。
それより、どうやって初芽に異動の話を切りだせばいいのか。
「店長、考え事をしているところ悪いんですが、検査をお願いします」
いつの間にか平尾さんが横に立っていて、珍しく接客をしたお客様のデータを持ってこちらを見ていた。
「あ、はい」
データを受け取り、営業スマイルを作る。
何をやってるんだ、俺は。目の前の仕事に集中しなくては。