キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


「それより、北京行きの話をした方がいいのでは……」


昨日は浮気疑惑が解消されてホッとしていたけど、よく考えれば、それより問題なのは俊が北京に異動してしまうということ。

ちょっと考えただけで泣きそうになってしまった私に、俊は冷静な顔で言った。


「話って?別に北京についてこいなんて言うつもりはない。当初の予定通りの遠恋になるわけだが、お前はそれが嫌か」

「嫌っていうか……不安です」


当初の予定は、国内遠恋だったじゃない。

それがいきなり海外だなんて言われたら、普通動揺するでしょ。


「不安だから、別れたいか?」

「えっ……いや、別れたいとは思ってません」


別れたら、そこで全部終わりだ。

離れるのは苦しいけど、気持ちは繋がっていたい。


「じゃあ、話し合うことなんかない。お前が不安だって言うなら、できるだけメールするようにする。それだけだろ」

「そりゃあ、そうですけど……」


なんか違う。言ってることは間違ってないけど、なんでそんなあっさり。

『俺も寂しいよ』とか、『ポケットに入れて連れていきたいよ』とか、そういう言葉はないのね。

昨日の甘ーい俊はもしや別人だったのかしら?


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