キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


だんだんと深くなっていくキスに、私まで酔わされていくみたい。

こんなところでしちゃいけないという意思は、いつの間にか遠くへ吹っ飛んでいた。


私だって、本当は俊とくっついていたい。

ずっと、ずっと……。


寂しさと不安を埋めるように、ぎゅっと俊にしがみつく。

俊の胸板に自分の胸が潰されて、いびつな形になるのを感じた。



このまま溶けて一つになれたら、ずっと一緒にいられるのに。

離れて寂しい思いなんか、しなくて済むのに。

あなたの気持ちがわからないと、泣くこともないのに。



そんなことを思ったら、一筋だけ涙がこぼれた。

私はそれを隠すように、俊の汗ばんだ首筋に顔をうずめて、彼の熱に溺れた。

窓に叩き付ける雨が、少しずつ弱くなっていたのも知らずに。



< 197 / 229 >

この作品をシェア

pagetop