キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


実家の住所か。そういえば前に俊のメガネの購入履歴を見てみたけど、実家の住所は載っていなかった。もちろん、電話番号も。

同期の社員に聞けば、一人くらいは知っているかもしれないけれど、果たして個人情報をやすやすと教えてくれるだろうか?

しかも、俊が辞める原因となってしまった私に……。


「好きになっちゃ、いけなかったのかなあ」


私が俊を好きになったりしなければ、彼のキャリアを傷つけるようなことはなかったのに。


「じめじめしない!あーもう、鬱陶しい。俺、こんな子のどこが好きだったんだろ。あほらし」


もう付き合いきれなくなったのか、優しい長井くんもとうとう匙を投げて毒を吐き始めた。

だって、もうどうしていいのかわからないんだもん。

俊に帰ってきてほしいけど、いったいどうすればいいのか……。


「……もう帰ろう。俺が店長の連絡先を知っている人がいないか、周りに聞いてみるから」

「うん、ありがとう。帰る前におトイレ行ってくる……」


ふらふらと立ち上がり、トイレに向かう。

その途中で、前に歓迎会をやってもらったときに使ったお座敷があった。

今日は襖が閉まっている。不倫カップルでもいるのかしらん?

なんてことを考えながらそこを通ると、中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「じゃあ、これはお礼の……」

「どうも。助かりますよ、地区長。俺の店も最近傾きかけててね」


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