キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「ハツ!」
ぎゅっと目をつむる。
──ドン!
大きな音がした。
けれど、背中も腰もお尻も、痛くなかった。
「あれ……?」
そっと目を開け、おそるおそる振り返る。
すると目前に、矢崎店長の美しい顔が。
長いまつげの下の茶色の瞳と、目が合った。
「……無事か」
言われて気づく。
自分が、矢崎店長の膝の上に乗っていたことに。
まるで後ろから抱きかかえられるようにして、私は店長の上に落下したらしい。
「ごごごごごめんなさいっ!!」
私は慌てて、ハイハイするようにして店長から離れた。
ひ、膝に乗っちゃった。子供みたいに。めっちゃ恥ずかしい。
「ててて店長は、御無事でござるかっ」
「ああ、痛いけど、なんとか」
矢崎店長は私を受け止めた際に吹っ飛んだと思われるメガネを床から拾い上げ、傷やゆがみがないか確認しているみたい。
壊れていたらどうしようとひやひやしたけど、店長はすっとそれを顔にかけた。
曲がってない。良かった。
「もも、申し訳ないでごわす!」
立ち上がって頭を下げると、呆れたようなため息が上から降ってきた。
「西郷どんかお前は。いいから落ち着け。そして台帳を記入しろ」
「は、はい……」