キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
朝早かったせいか、いつもの通勤時間とあまり変わらない時間の電車に乗ってしまった。
お店が見えてきた頃に時計を見ると、ちょうど開店10分前。
「あちゃー。朝礼にかぶっちゃったか……」
ほんと、何やってるんだろう。
お店に行くって思った瞬間から全身がふわふわしちゃって、突撃する時間を計算するのも忘れるなんて。
「まあいいか!」
朝礼はいつもほんの少しの時間で終わるから、ちょっと店長の顔を見て、さっと帰ろう。
意を決して裏口からお店の中に入ると、矢崎店長の声が聞こえてきた。
「というわけで、今日もセール商品が入荷します。値札をつけても、次のセールが始まる前に店頭には出さないよう、お願いします」
いつもの朝礼だ。
私は音を立てないように裏口のドアを閉め、こっそりとトートバッグが置いてある加工台の裏に向かう。
「……それと、俺は明日から本社に行くので、二日間留守にします。その間、店のことは皆さんにおまかせしますので、よろしくお願いします」
他のメンバーの返事が聞こえた。
これで解散だろうと思った、そのとき。
「特に、杉田さん、平尾さん」
矢崎店長が、例の二人を名指しした。
何事かと思い、物陰からこっそり様子をうかがう。
「俺がいない間、問題を起こさないように」
幾分口調をきつくした店長に、二人がやんわりと反論する。