愛のカタチ
タクシーを降りて、マンションのエントランスまでは、傘を挿さずに駆け寄った。
オートロックを解除し、中へ入ると、ヒヤッとした冷気に身震いした。
エレベーターに乗り込み、停止階の番号を押すと、次々と表示されるオレンジの灯りを眺めた。
♪チーン♪
高音の機械音が、降車を報せた。
自宅玄関前に到着すると、心を落ち着かせるように、深呼吸した。
♪ピンポーン♪
チャイムを鳴らしたが、返答がない。
……あれ?寝てるのかな?
鍵を差し込み、ドアを開けながら「ただいま〜」と声を掛けたが、室内は静まり返っていた。
スリッパに履き替え、リビングへ行ってみると、室内は藻抜けの殻だった。
ふと見渡すと、ダイニングテーブルの上に走り書きのメモが残されていた。
『駅前のパチンコ屋に行って稼いできます。夜は、二人で祝杯をあげましょう!』
―――…。
拓也に対して、半ば呆れに近いような怒りが沸き起こりそうだった。
でも、その反面、自分も秘密を抱えてしまったようで、なんだか複雑な心境だった。