愛のカタチ
時間を忘れて、アルバムに見入った。
「――真理、お昼どうする?」
階下から母の呼ぶ声がする。
壁に掛けられた時計を見上げると、正午をゆうに過ぎていた。
「ちょっと待ってて!今行くから」
声を張り上げ、階下の母に応えると、慌てて元の段ボール箱にアルバムをしまい込んだ。
その中の一冊だけ手にして、リズミカルに階段を下りた。
「お昼、ざる蕎麦でいい?」
すでに、鍋にはたっぷりとお湯が張られ、グツグツと沸騰していた。
「うん、いいよ」
「何か、捜し物でもしていたの?」
「うん、まぁね」
「そうそう、お盆はどうするの?拓也さんのところにも帰るんでしょう?」
「うん、一応ね。でも、同窓会もあるから……まだよくわからない」