今日は運転手で
母にとってあたしは子供の2分の1かもしれないけど、

あたしは自分ひとりしか居ない、たった一人の自分でしかない。

しかももう一人の2分の1は、あたしと明らかに扱いが違う。

『また、女の子なのなら、あなたなんか要らなかったのに』

高校生のころ、そういわれたな。

ベランダの手すりに身をもたせて、タバコを吸っている母をちらりと見て、部屋に戻る。


・・・あ、ご飯食べてない。

今頃気づいた。

今日は父の帰りが遅くなるらしくて、

我が家の家事担当な父が居ないと、あたしは何にも作れない。

作れないと言うか。

作れないことはない。

でも、問題なのは、家に、久しぶりに、母が居たこと。

出張帰りらしくて、思わぬ時間に家に居たりしたもんだから、あたしはご飯を作り損ねてしまった。

母は、あたしがキッチンに居ると、なぜか機嫌が悪い。

自分のテリトリーを荒らせれてるようで、嫌なようだ。

実際は父のテリトリーなんだけど。

「・・・何か、買って来るかな」

あ、そうだ。

周防さん、何してるかな。

ふっと思った。

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