幼なじみが、先生で。


「……蒼に会いに来てくれたんでしょう?」

「ひぇっ!?」


蒼ちゃんのお母さんはなんでもお見通しみたい。

図星すぎて変な声まで出てしまった。


蒼ちゃんのお母さんに会ってから、まともな声のトーンが1度も出ていない事実が哀しくなる。



「ふふふっ、海里ちゃんは昔と変わらず可愛いわね」


自分で言うのもなんだけど、こんな変な子を可愛いと思うなんて蒼ちゃんのお母さんは変わっている。


蒼ちゃんもそういうところがあったし、2人は笑った顔の他にこういうところもよく似ている。



「せっかく海里ちゃんが来てくれたのはいいけど、蒼はまだ帰って来てないのよね」


「まぁ、そうですよね………」


先生と生徒の帰る時間は当然違うため、蒼ちゃんはまだ学校に居るはず。

そんなことわかってたはずなのに勢いだけで来ちゃうなんてバカだなぁ。



「蒼の部屋で待ってる?」

「へ?」


「海里ちゃん家で待っててももちろんいいけど、せっかく来てくれたんだしどうかしら?」


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