幼なじみが、先生で。

近づく距離



「はぁ……」


今日はいつもより風が強い気がする。

わたしの吐いたため息が風に吹かれてどこか遠くまで飛んで行きそう。


昨日、家に帰ってから気づいたのだが芹澤くんに生徒手帳を渡すのを忘れてしまっていたらしい。

鞄のポケットに突っ込んだままだった。

このまま返さず平和に過ごしたいところだが、そういうわけにもいかない。


また会わなきゃいけないなんて憂鬱だよ……。


昨日の出来事が頭からこびりついたように離れない。

校内であんなことをするのは漫画だけの世界かと思っていたけど、実際にもあると知ってしまった。


無駄な知識を植え付けられ、果たしてわたしはいつも通りの日常を送れるだろうか。


「あっ」


憂鬱な気分を抱えたまま校門を抜けると、ちょうど目の前に結衣の後ろ姿が見えた。

こんな鬱気分のときは結衣と話して忘れよう。


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