君を好きな理由
「シャワーを諦めます」

「そうですね。諦めて下さい」

寝室に入ると、ベットに下ろされて博哉を見上げた。

初めてでもない癖に、心臓の音がうるさい。

「困った顔になってます」

「えーと。うん。少し困ってる」

「では、もっと困らせてあげましょうかね」

「お、お手柔らかに……」

「無理です」

「ひ、久しぶりだから……!」

「乱暴にはしませんよ」

小さく笑われて、顔にかかった髪を払い除けられる。

「……優しくするとは言わないのね」

「嘘はつかない主義なので」

手を持たれると、そのまま手の甲にキスをされる。

手の甲に唇をつけながら、私を見るから……ますます困る。

「とりあえず」

「うん?」

「黙って、俺に抱かれて下さい」

眼鏡の奥の視線が、一瞬陰って微かに暗く光る。


ああ、彼もそんな風になるんだな。


そんな風に冷静でいられたのは最初だけで、気がつけば翻弄されて、吹き飛ばされないように博哉にしがみついていた。


確かに乱暴ではなかったけれど……


かなり激しい夜。






















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