霧雨が降る森
少年は音もなくさらさらと降りしきる雨の中、通い慣れた砂利道を走った。



しばらくすると、鄙びた洋館が木々の間に見えてきた。洋館の背後に広がるのは鬱蒼とした森。そこはずっと昔から、子どもの立ち入りをいましめている場所だった。



<ことりおばけ>がいるという<ことりおばけの森>を管理しているのは、少年の幼なじみの父と祖父。


彼らから森には近づかないよう、少年は言い含められていた。


(……それって、森には<ことりおばけ>が、本当にいるからだよね?)



洋館の脇道をまっすぐ進むと広場に出た。『森への立入を禁ずる』と書かれた立看板、それから広場の奥には、注連縄の掛けられた磐座が金真座していた。





磐座は夜光石と呼ばれていて、魔除けの効果があるらしい。これを材料に加工したというお守り石を、少年は幼なじみの家でよく見かけた。


それは、暗いところでぼうっと淡く光る、綺麗な青い石だった。
だけど、広場にある磐座は、ただ図体が大きいだけで、光ってはいなかった。


魔除けの岩らしく注連縄が巻かれていて、苔も生えていて、厳めしい感じはするけど。








































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