本日より不倫デビュー致します。
私が椅子にすわると先生も向かい側に座った。

「あの…今さらなんですけど、助けて戴いて有り難うございます。私のせいで先生も濡れてしまっつて…」

「いやいや。気にするな」

先生はそれ以上詮索して来なかった。
気づけばたわいもない話で時間が過ぎていった

「すみません。長居して。」

「気にしないよ」


「……」


「実は先生…」


私は先生にだけは話しても良いと思った。
そして家での出来事を話した

途中で耐えられなくなって泣き出したけど、黙って背中を撫でてくれた。


そして話を聞き終わると思案げな顔を浮かべた

やっぱり先生に話すなんて迷惑だったよね……


「……実はうちの両親も俺が子供の頃離婚したんだ…」

「えっ……」

「だから悩み事とかあったら言えよ」

「はい」

先生の温かい言葉でまた涙が溢れる。
そして心が軽くなった。

「もう泣き止めよ。泣いてるなんて城崎らしくないぞ」

そう言って先生は私の背中を軽く叩いた。

「それもそうですね」

そして少し笑った

「それでこそ城崎だ。帰りは送っていかなくて大丈夫か?」

「大丈夫です」

「無理するなよ」

そう言って笑ってくれた。
その笑顔に思わずドキッとしてしまった。

顔が熱い。大丈夫か私……ドキドキが止まらない

帰り道先生が貸してくれた傘の中で考えた。思い出されるのはあの本の文面。胸がしめつけられるように切なくなって先生の事が頭から離れない。



これってもしかして……







……………………恋ですか?

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