もう一度、恋をしよう。
「………バカ?」
私は稲葉くんが書いた文字を声に出して読んでいた。
みんなが別れを惜しんだり応援のメッセージを綴っている中、稲葉くんが書いた“バーカ”の文字が一際大きくて目立つ。
「あの泣き虫に書く事なんて、これぐらいしかないしなっ!」
「……なんか、稲葉くんらしいね。」
最後の最後まで奏多くんに対する態度が変わらない稲葉くんに、私は苦笑いをする。
「……そうか?
美桜も、アイツに好きな事書けばいいじゃん。」
「……好きな事?」
私が聞き返すと、稲葉くんは私の机の上に色紙とペンを置く。
「アイツに、伝えたい事とかねーの?」
「……そ、れは……。」
私が奏多くんに伝えたい事…?
いっぱいあり過ぎて悩む。