アブラカタブラ!
「名古屋あ、名古屋でえす」
アナウンスが流れると同時に、トンネルに電車が入った。
わたしの手を握る息子の力が突如強くなった。
「パパ、パパ」
小声で呼びかけてくる。
腰をかがめて耳を近づけると
「じごくだね、じごくにはいったんだね。ママがいった。じごくはくらいんだって」
と、怯えた声を出す。
無理もない。地下を通る電車は初めての経験なのだ。
人一倍怖がりの息子は、いきなり暗闇に放り込まれてパニックになったのだろう。
「大丈夫、すぐに明るくなるから」
告げた途端に、明るいホームに滑り込んだ。
しかし息子の手の力は弱まらない。
「パパ。ひとがいっぱいいるね」
名古屋駅に降り立った息子の第一声だ。
嬉々としてエスカレーターに乗った息子だったが、その人混みに圧倒されて抱っこをせがんできた。
久しぶりの名古屋だ。
東山動植物園には、確か父親に連れてこられた記憶がある。
ひょっとして、息子ぐらいの年齢だったかもしれない。
地下鉄東山線で、東山駅で降りると良いと聞かされた。
通路を見渡し、標示灯の中に見つけた。
不安げに見上げている息子に「さあ、行くぞ」と、笑いかけた。
アナウンスが流れると同時に、トンネルに電車が入った。
わたしの手を握る息子の力が突如強くなった。
「パパ、パパ」
小声で呼びかけてくる。
腰をかがめて耳を近づけると
「じごくだね、じごくにはいったんだね。ママがいった。じごくはくらいんだって」
と、怯えた声を出す。
無理もない。地下を通る電車は初めての経験なのだ。
人一倍怖がりの息子は、いきなり暗闇に放り込まれてパニックになったのだろう。
「大丈夫、すぐに明るくなるから」
告げた途端に、明るいホームに滑り込んだ。
しかし息子の手の力は弱まらない。
「パパ。ひとがいっぱいいるね」
名古屋駅に降り立った息子の第一声だ。
嬉々としてエスカレーターに乗った息子だったが、その人混みに圧倒されて抱っこをせがんできた。
久しぶりの名古屋だ。
東山動植物園には、確か父親に連れてこられた記憶がある。
ひょっとして、息子ぐらいの年齢だったかもしれない。
地下鉄東山線で、東山駅で降りると良いと聞かされた。
通路を見渡し、標示灯の中に見つけた。
不安げに見上げている息子に「さあ、行くぞ」と、笑いかけた。