【完】一粒の雫がこぼれおちて。
丁度その時、まるでタイミングを計ったかのように。
――ブー、ブー
マナーモードにしていた携帯が、スカートのポケットの中で震える。
途端に、体中の体温がグッと下がった気がした。
暖かかった手の平が、一気に冷たい手の平へと変わる。
差出人は、見なくても分かる。
この時間帯にメールして来る人なんて、あの人しかいないから。
『放課後いつもの場所に来い』
改行も無い、句点も無ければ読点も無い。
何の飾りも無い、用件だけのメール。
私はそのぶっきらぼうなメールを保存して、携帯を閉じた。
――キーンコーンカーンコーン
同時に鳴った、1限目の終了を知らせるチャイム音。