【完】一粒の雫がこぼれおちて。





今の私を見る限り、想像もつかないと思うけど。


それぐらい、過去の私は捻くれていた。



どうせこの人も、〝私〟を見てくれはしない。



母親が私に対する〝透明の存在〟のように

父親が私に対する〝邪魔な存在〟のように


目の前の人も、〝私〟を〝何かの存在〟にする。




そう思っていた私の考えは、たった1週間で覆された。



「両親に愛されなかった分、オレがお前を愛してやるよ。」



6年生だというのに、恥ずかしげもなく3年生の教室に入って来るほど。


私の周りを付き纏っていた松江大地。



あまりにもしつこいものだから、私は話した。


両親、母親と父親のことを。





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