【完】一粒の雫がこぼれおちて。





side 倉橋しずく





午後1時、わたしは駅前にいた。



理由は、和泉くんに呼び出されたから。


急な電話に最初は驚いたけど、丁度よかったと思った。



私も……私も、伝えたいことがあったから。



〝ごめん、少し遅れる〟



送られて来たメールを見て、ほんの少し微笑んでしまう。


メールなんて性格上、めったにしなさそうなのに……わざわざ。



メール交換をしたのは、ついこの間。


和泉くんがわたしを名前で呼び始めて、数日が立ってからだ。



どんなにぶっきらぼうでも、私から送ればちゃんと返してくれる。



携帯に残る和泉くんのメールアドレスが嬉しくて、見る度、無意識にニヤけてしまう。





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