【完】一粒の雫がこぼれおちて。





例え暴力という形でも、たくさんの愛情を私に注いでくれた大ちゃん。


たくさん、たくさん……。



「だいちゃん、私……私……。」


「……もう、分かるだろ? 本当の〝恋〟ってやつが。」


「う、ん……っ。」


「いけよ、しずく……。」



今でも覚えてる。



真っ暗な部屋の中。



隣から聞こえるお母さんの喘ぎ声と。


酒に溺れて暴力を振るうお父さんの姿を。



そのときの私にとっての、一番の支えは……。


顔も名前も知らない、


「おにいちゃん……。」



大ちゃん、だけだった。



大ちゃんはすごい人。


出会う前も、出会ってからも。


私を、闇の中で支えてくれた。



大ちゃんはこれからも、


ずっと、ずっと……。



たった一人の、大切な〝お兄ちゃん〟。





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