【完】一粒の雫がこぼれおちて。
和泉くんが好き。
この想いは自分でも止められない。
止まらないんだ。
……それが恋。
あふれるほどの、〝愛〟。
「…………なぁ、しずく。」
「な、に……?」
いつの間にか零れていた涙を拭って、電話を切ろうとしたとき。
電話口から聞こえた、鼻を啜る音と低い声。
「これだけ……これだけ、分かっていて欲しいんだ。」
「……オレがしずくに向けた感情は、確かに、〝愛〟だった……。」
っ……だいちゃん。
だいちゃん、大ちゃん……。
ありがとう、
おにいちゃん。
「好きだ、しずく……。」
恋じゃないけど……。
「……私も……大地お兄ちゃんが、大好きだよ。」
これも立派な、〝愛〟だと私は思うんだ……。
「……幸せになれよ。」
「……うん!」