【完】一粒の雫がこぼれおちて。
依織……?
依織って、お母さんの名前……。
「「……今まで、傍で蒼空を支えてくれて、ありがとう。」」
声が2つ、聞こえた。
懐かしい声。
もう何年も聞いてなかったけど、確かに聞いたことのある、暖かい声……。
伯父さん、伯母さん……。
蒼空くんの、お父さんお母さん……。
「君はまだ、こっちに来ていい人間じゃない。」
「見える? 蒼空は当然……みんな、里沙ちゃんの帰りを待ってるのよ。」
開かなかったはずの目がすんなり開いて、あたしの目にはみんなが映る。
赤いランプの付いた手術室の前。
しずくちゃんが泣いていて、それを支える蒼空くんの手も震えていて。
大くんに関しては、手術室の前を何度も往復している。
隣にはお父さんお母さんもいて、みんな……。