【完】一粒の雫がこぼれおちて。





依織……?


依織って、お母さんの名前……。



「「……今まで、傍で蒼空を支えてくれて、ありがとう。」」



声が2つ、聞こえた。



懐かしい声。


もう何年も聞いてなかったけど、確かに聞いたことのある、暖かい声……。



伯父さん、伯母さん……。


蒼空くんの、お父さんお母さん……。



「君はまだ、こっちに来ていい人間じゃない。」


「見える? 蒼空は当然……みんな、里沙ちゃんの帰りを待ってるのよ。」



開かなかったはずの目がすんなり開いて、あたしの目にはみんなが映る。



赤いランプの付いた手術室の前。



しずくちゃんが泣いていて、それを支える蒼空くんの手も震えていて。


大くんに関しては、手術室の前を何度も往復している。


隣にはお父さんお母さんもいて、みんな……。





< 237 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop