【完】一粒の雫がこぼれおちて。





side 和泉蒼空





「オギャーッ、ギャーッ。」



静まり返った手術室の前の廊下に、突如響き渡った声。


その場の全員が、息を飲む。



赤いランプが消えた。


手術室から出て来た医者が、つけていたマスクを下げ、柔らかく微笑む。



「……母子共に、無事です。」



みんなの歓声が響いた。



叔父さんと叔母さんに関してはまた泣き始め、お互いの体を抱きしめて喜びを分かち合い。


松江大地は震える足がカクンと折れ、その足を引きずって、手術室の中へと這い進み。


端で表情には出さなかったものの、肩を震わせていた潤平と美衣奈もホッとした顔で、その場に座り込んでいた。



しずくは満面の微笑みで、さっきとは違う意味で、僕の手をぎゅっと握る。





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