【完】一粒の雫がこぼれおちて。





――「なぁ和泉。おまえ、倉橋が好きなの?」



僕の目の前を歩く、クラスメートの松江。


数分前コイツは、電話相手の言っていた〝迎え〟として僕の前に現れた。



「別に。あんな奴、好きじゃない。」



つまりコイツは〝大ちゃん〟の仲間であり。


少なくとも、僕の味方ではないということ。



「じゃあなんで、わざわざ兄さんの挑発に乗ったわけ? ……和泉って、そんなに頭悪かったっけ?」


「学年でビリから2番目の君に言われたくないね。それに、僕はいつも1番だから。」



数日前。


コイツが僕と倉橋の関係を自棄に気にしていたのも、そのことが関係してるのかも。



「はっ、相変わらず口が達者。精々、兄さんを怒らせないようにな。」





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