光の少女Ⅲ【合成獣編】
「龍の頑丈さ・・・」
「うわああぁ!」
軽い動作で弾かれた二つの弾は、黄牙へと戻され、反応が遅れた彼に当たる。
「黄兄!くそっ・・・!」
「よくも、黄兄さんを!」
紅牙と蒼牙がそれぞれの腕を鬼、龍のものへ変化させ、男に殴りかかる。
「「うああぁっ!!」」
だが、男は紅牙に魔弾、蒼牙に光弾をぶつけて吹っ飛ばし、彼等の接近を許さなかった。
「魔族と神族の力・・・、そして」
弓を構えた花音の前で、男の姿がぶれる。かと思うと、分身のように何人もの男の姿が現れた。
「妖の特殊能力・・・」
「きゃああっ!」
「花音っ・・・!」
誰が本物か見極められない内に吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる寸前で、誰かに身体を抱え込まれる。
「ぐっ!」
「風夜・・・!」
聞こえた呻き声に慌てて振り返ると、花音の代わりに再び背中を打ち付けた風夜が膝を付いていた。
「素晴らしい!この力さえあれば、何も恐れるものはない!・・・まずは、この世界を私の物にしようか、ははは」
そう言って、男は翼を広げると、天井を突き破って飛んでいってしまった。