oneself 前編
目の前が真っ暗になった。


あまりの衝撃に、息をする事さえ忘れた。


哲平の頭のつむじを見つめながら、先ほどの哲平と同じように、自分の手が小さく震えている事に気付いた。


ワカレヨッカ…


理解出来ない訳じゃない。


でも、理解したくない。


いきなりすぎて、これは夢の中なんじゃないかと思ってしまう。


夢ならイイのに…


「ホンマに言ってるん…?」


こんなにも、哲平の次の言葉を待つのが怖い事が、今までにあっただろうか。


ドキドキと早いペースで脈を打つ心臓の音。


それが聞こえてしまうんじゃないかというくらい、二人の間には静寂が流れていた。


「未来が辛そうやから」


ゆっくりと顔を上げる哲平。


「未来、もうしんどいやろ?」


その顔は、どこか淋し気で、でも頼りなく微笑みながら。


哲平が本気でそう言っている事を、あたしはようやく理解した。


夢じゃないんだ…


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