oneself 前編
哲平がホストの仕事を始めてからの3週間。


辛くて、しんどくて…


何よりも未知の世界で、想像さえつかない事が、余計にあたしを不安にさせた。


それは否定出来ない。


でも、好きで。


別れたいだなんて思った事は、一度もないのに。


哲平は、あたしと付き合っていく事よりも、仕事を続ける事を選ぶの?


あたしはギュッと拳を作ると、ゆっくりと息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。


それを何度か繰り返す。


「哲平はもう、あたしの事を好きじゃないの?」


「違う!そうじゃない!」


別れる別れない以前に、哲平の気持ちさえ、分からなくなっていた。


それくらい、あたしはこの状況に疲れ果てていたんだと思う。


そんな不安を口にするあたしを、哲平は強い口調で否定した。


良かった…


こんな話になってるのに、おかしいよね。


でもその言葉を聞いて、あたしは少しだけ安心して、さっきよりも冷静になれた。


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