oneself 前編
前大会ベスト4の相手チームに、ダブルスコアで負けたあたし達。


試合を終えて、顧問の先生やチームメイトとの話も済み、泣き腫らした顔で、帰ろうとした時だった。


そこに、彼の姿があったんだ。


「お疲れ」


彼のかける言葉は、明らかにあたしを見て言っていて。


バスケ部のキャプテンでもあった幸子は、気を使って周りを引き連れ、あたしだけを残して帰って行く。


取り残されたあたしと彼。


泣き腫らしてひどい顔をしている自分にうろたえながら、状況をつかめずにいた。


「もう遅いかも知らんけど、付き合ってくれへん?」


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