君だから〜たった一人の君〜

『…』


「やっぱ送ってくわ」


「え、でも…」


画面を見ると、通話は終わっていた。


…さっきので切ったんかな…。


「はよ乗り」


「…ウチ、重いで」


「なめんなや。はよ乗れゆうてるやろが」


「う…文句言わんでよ!」


荷台に乗る。


不安定でつい亮の服の裾を掴んだ。


「動くで?」


「うん」


普通のカップルみたいに、二人乗りして街を走る。


歩きとは違う景色をボーッと眺めた。

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