あの日失くした星空に、君を映して。
その日の夜。
ベッドから体を起こして窓の外を見る。
だいぶ高い位置にある部屋なのか、窓の外に建物は1つも見えない。
ほんの少し灰色に染まった煙が遠くに見えるだけ。
視力は何も変わりないのに。
私の右目はもう、二度と見えない。
呆然とするだけの私に、大岩先生ははっきりとした口調で話をしてくれた。
そのおかげなのか、全て話の内容が耳に残っている。
あの日、階段から落ちた私は全身を打撲した。
一番上の段から転げ落ちた私は下まで一直線というわけではなく、何度も段差にぶつかったらしい。
その拍子に、右目を強打。
眼球破裂の時はその状態で処置をするか、出血が多い場合は一時的に縫合を行って、数日経ってから網膜の手術を行うのが一般的らしいのだけれど
私の場合、眼のほとんどが外に出てしまっていたらしく、眼球内容除去法という眼球の中身を摘出する手術が行われたと、大岩先生が言っていた。