あの日失くした星空に、君を映して。


つまり、私の目は見えないんじゃない。


もう、ないんだ。


そっとガーゼの上から右目に触れる。


この奥に何があるというのだろう。


もう何もない?


まだ眼ではない何かが残ってる?


左目に触れると確かに眼球の形があるのに、右目にはもうそれがない。


そう思うとこわくなって、バッと手を離した。


なんでこうなったんだろう。


眼の他に打撲もひどいし片足を捻挫していることもあって、しばらくは入院。


今後の義眼の装用なんかについても話していたけれど、それは私に対してじゃなくてお母さんに言っていたんだと思う。


どちらにしろ、その話をするころには私はほとんど何も聞いていなかった。


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