あの日失くした星空に、君を映して。


「そこが深影の家なん」


「え…!?」


風香が教えてくれた…というか深影が入っていったのは間違いない。


私の家の隣。


「わ、私も荷物置いてくる!」


「えっ!?ちょ、鏡華!?」


ガラガラと引き戸を開けて中に入り、走ったせいで乱れた呼吸を整える。


深影の家…隣だったんだ。


挨拶した時は人の良さそうなおじいちゃんとおばあちゃんしかいなかったから、知らなかった。


それにあの夜から今日まで一度も会わなかったし。


「あら…鏡華?遅かったわね」


「お母さん!」


やばい…私お母さんに連絡するの忘れてた。


「お昼ご飯待ってたのよ」


うっ……食べてきたなんて言えない。


でももうお腹いっぱいだし…


「ごめん…友達の家でパン食べてきちゃった」


正直に告げると、お母さんは一瞬驚いた顔をした後、なぜか涙ぐんだ。


「お、お母さん!?」


なんで泣くの?


「よかった…」


「え……?」


「あんなことがあった後だから…鏡華にお友達ができて…よかったわ…」


お母さん……


今日家を出る時から心配そうにしてくれてたもんね。


病院で目が覚めた時から、家に帰ってからも毎晩お母さんが泣いていたのを知ってる。


私の前ではあまり泣かないお母さんの嬉し涙。


つられて泣きそうになったけれど、グッと唇を噛んで耐えた。


「遊びに行くの?」


「…うん、友達と」


そう言うとお母さんは涙を浮かべながら綺麗な笑顔を見せてくれた。


「いってらっしゃい」


手を振ってくれるお母さんに、荷物を預けて家を出る。


< 61 / 427 >

この作品をシェア

pagetop